【 無双4猛将伝プレイ記: 続パロディSS・殿方煮込み中☆ 】

前回までのお話

想い人に気持ちを伝えたい馬超。しかしとんと恋愛沙汰ともなるとどうしていいかわからない
馬超は恋愛指南を諸葛亮にしてもらおうとしたが、以外にも強敵と思われる関羽までもが
同じことを諸葛亮に相談をしていたことが発覚。衝撃を受ける馬超。
しかも想い人が同じともなれば共にいた歳月はあきらかに関羽の方が上。
諸葛亮は思案したうえで、関羽もまじえて話し合うことを提案するのであった。



「こんな夜更けに如何なされた、諸葛亮殿」

使いの者を呼びにいかしてからまもなくして、関羽が諸葛亮の部屋にやってきた。
その間の馬超といえば、まるで鮭を盗られた熊のように、部屋の中をうろうろしていてたのは
言うまでもない。

「おお、馬超殿までいるではないか」

「ど、どうも。馬超であります。」

馬超殿、なんでそこであなたが敬語になって自己紹介までしているんですか

思わずつっこみをいれたい諸葛亮だが、あえてスルーする。

「そういえば馬超殿、先日の戦ぶり、見事であられたな!貴公の槍さばきたるもの、この
関雲長感服いたした」

「いい、いや!!いやいやいや!!関羽殿の髭っぷりも相も変わらず見事でありました!

褒めるべきところはそこもあるが、何かが違う

不憫な子………。

馬超のまいあがりっぷりもとい、動揺っぷりに諸葛亮は思わず内心涙を隠せない。

対する関羽といえば、ちっともこの馬超の言動を怪訝にも思わず普通に会話しているあたり

さすがは武神

「して、つもる話もお互いあるでしょうが、関羽殿」

拍車のかかりそうな馬超への助け舟、もとい脱線しかねない会話を諸葛亮が戻す

「おお!!これは相済まぬ。して、拙者になんの用事かな?」

そんな関羽に椅子をすすめ、お茶をだしてからゆっくりと羽扇をゆらしながら
諸葛亮は2人の顔を見比べた。

「関羽殿を呼んだのは他でもありません。実は−」

ちらりと馬超を見ると、声に出さずに、『うわぁ〜うわぁ〜』と口を動かしている。
言っちゃう?言っちゃうの!!?と言わんばかりの口パクでやっている馬超。

「−馬超殿から言ってもらいましょう」


『えええええええええええ!!??』予想通り、声にださずして驚く馬超。

本当に期待を裏切らない人ですね。
不憫をとおりこして、何だか楽しくなってきた……ような気がするのは言わないでおきましょう。

「馬超殿が?」

関羽が馬超の方を見ると、瞬間、馬超は開ききった口をとじていきなりおとなしくなる。

数秒の沈黙の後、馬超からゆらりと立ち上るオーラを見たような気がした。
戦場の馬超モードのスイッチが入ったのかもしれない。

「実は、か、関羽殿………」

「うむ」

「俺も、好きなんです!!!」

『えええええええええええ!!??』今度は馬超ではなく、関羽が声をださずに驚く。

馬超殿………微妙に主語が抜けてます

今のは間違いなく事情を知らない関羽が聞けば、誤解されるものの言い方である。

「い、いや、馬超殿、少し落ち着かれよ」

「いや!!この馬孟起!!!一世一代のこの告白!!!聞いていただく!!!

関羽ににじり寄る馬超。その熱いまでの気迫にさすがの関羽も気圧されている。
そのまま関羽を押し倒してしまいそうな勢いである。

「ま、待たれよ!!拙者には、心に決めた人が−

慌てて馬超を制する関羽。やはり、勘違いをしている

はぁ〜〜〜〜〜〜〜。

ため息をもらしながら諸葛亮は羽扇で顔をあおぐ。

「お二方とも……」

何やら勝手に脱線方向へとヒートしていく会話に、諸葛亮の言葉がかき消される。
なかなか途切れそうにないやりとりに、酒なしでも無双ゲージの溜まりがいい諸葛亮。素でいける。


「お二方とも……目から出しますよ


おだやかに言い放ったその一言に、二人が固まっておそるおそるこちらを見る。

何を出すのかといわんばかりだが、どうやらその言葉の裏にあるものを察したらしい。

「何か誤解があるようなので、私から省略してご説明いたしましょう」

−−−−−−−−−−−−−−−

「かくかくしかじかこういうことなのです」

「なんと、馬超殿もか……」関羽が驚きを隠せずにつぶやく。

双方の誤解もとけ、意味もつうじたようなので、諸葛亮は話を進める。

「それで、関羽殿を呼んだのはお二方に遺恨が残らないようにするための策です。
ましてや、お二方は戦場で共に戦う仲間同士。信頼関係を崩さない為にもその方が
いいと思い、策を用意しました。」

「『そのような策とは、一体どんな!!?』」

二人の問いに、諸葛亮は手に持っていた羽扇をゆっくりと頭上にかかげる。


天を3つに分けます


「『(どうやってですか〜〜〜〜〜!!!???)』」

目は口ほどにものを言う。ぽかんと開いた関羽と馬超の口から今にも声がでそうだ。

「−というのは物の例えです。いつどこでどういった条件下で告白をするかによって
その成功率は異なります。なので、条件を同じにしようというものです」

「『で、その、条件というのは…?』」

ごくりとツバを飲みながら二人が諸葛亮を見る。

「つまり時も場所も同じくして告白をするということです

「な、なるほど……」関羽はその長い髭をゆっくりとなでながら、つぶやく。

「それだったなら、正々堂々と同じ条件で勝負できるということか」嬉々とする馬超。


「如何ですか?お二方とも」


ゆらゆらと羽扇をあおぎながらしばらく答えを待つ。
二人の様子からいってほぼ決まったといっていい。

「よろしいようですね。では次なる策はその順番です。まさか二人して同時に告白しては
相手も驚いてしまうのでしょうから」

「『そ、それはそうだ』」

「これに関しては、やはり関羽殿に先鋒を務めていただきましょう。よろしいですか?馬超殿」

「あ、ああ。先も後も同じようなもの。異存はない!!」

「そして次に私がいき、馬超殿という順序にしましょう」

うんうんと二人は頷きながら聞いていたが、ふとその動きがとまる。

二人の頭の上から疑問詞が浮かび上がるのを諸葛亮は見た気がした。

ちょ、ちょっと待たれよ、諸葛亮殿」

「如何しましたか?関羽殿」

「拙者が先鋒なのは相分かったが、その次に………」

「ええ、私が行ってから、馬超殿です」

にっこり。



「『え……?』」



「おや、順序を変えた方がよろしいですか?」

「いいいいい、いやいやいや、俺は何か聞き間違えをしているかもしれん!」

「いえ、聞き間違えじゃありませんよ、馬超殿」


「『え……ええええええええええ!!!??』」


「『しょ、しょ、諸葛亮殿……ま、まさか貴公までも……』」

「もちろんです」

ぱくぱくぱく。楽しいくらいに魚のような口をしている関羽と馬超。対し微笑が眩しい諸葛亮。

「えええええ……?それって、実は俺が一番不利?不利なんじゃない!?ああああああ」

挙動不審の馬超再び。一人の世界にとんでいってしまっている。

「これは、また、手ごわい……」
関羽はそううなりながら真面目な顔をしているが何故かその指先は巧みに髭を三つ編みしている


皆さん、動揺しすぎですよ


だから言ったでしょう。天を3つに分けると。

お二方が私に相談しなければ成らなかった策ですが、これまた私の策にうまくはまってくれたと
いっていいでしょう。これなら小細工なしでの勝負ができるというもの。

まぁ、私は小細工してもいいのですが。それでは、彼女を困らせますからね。

「それでは、お二方の健闘を祈ってますよ」

諸葛亮の穏やかな声音は、あきらかに関羽と馬超の二人にとっては

何かを宣告されたも同然だった。   (完)


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